このページの要点
- 約束は、講師・会場や配信環境・共催者や協賛者・参加者・情報の取扱いの5本の線に分かれ、互いに影響し合う。
- 開催前・開催中・開催後に並べると、後から変えにくい項目ほど開催前に決めるべきことが分かる。
- 講師との書類は、依頼書・契約書・基本契約と発注書から、催しの頻度と規模に合わせて選ぶ。優先関係は一方向に書く。
- 単発〜数回の催しと継続講座では、必要な書類と法規制の確認が変わる。回数が増えたら書類を切り替える。
結論:セミナーの契約は、「誰と誰の約束か」を5本の線に分けて、開催前・開催中・開催後に並べる
セミナー、勉強会、ワークショップ、講演会、企業や団体向けの研修。名前はさまざまですが、人を集めて話してもらう催しには、共通する骨組みがあります。主催者が場と参加者を用意し、講師が話す。見た目は単純ですが、契約の線は一本ではありません。講師との約束、会場や配信環境の約束、共催者や協賛者との約束、参加者との約束、そして参加者の情報をどう扱うかという約束が、同時に動いています。
契約書作成の実務の経験をもとに言うと、トラブルの多くは、一つひとつの条文の出来が悪いことよりも、「その約束はどの書類に書いてあるのか」が分からないことから起きます。講師料は依頼のメールにあるが、録画の扱いは募集ページにしかない。資料の権利はどこにも書いていない。講師が出られなくなった場合は、誰も考えていなかった。こうした状況です。そこでこのページでは、個別の条文に入る前に、催し全体の約束の地図を描きます。
このページで説明するのは、次の5点です。
- 催しをめぐる約束が、誰と誰のあいだに何本あるか(5本の線)。
- それぞれの約束を、開催前・開催中・開催後のどこで決めておくか(時系列の整理)。
- 講師との契約を、依頼書・基本契約・個別の発注書のどれで結ぶか。
- 書類どうしが食い違ったときの優先関係(基本契約と個別の取り決め、募集ページとの食い違い)。
- 単発〜数回の催しと、継続して教える講座とで、必要な書類がどう変わるか。
各論は、講師への依頼書(講演・登壇の依頼書のページ)、報酬(講師料・旅費のページ)、資料の権利(資料の著作権のページ)などに分けて説明します。このページは、それらを読む前の見取り図として使ってください。なお、継続的に通う講座の受講契約、認定講師や養成講座の規約、教室の運営、運営会社に任せる大型イベントの契約は、別のガイドで扱う内容であり、このサイトでは書きません。このサイトが扱うのは、1回から数回の催しで、人を呼んで話してもらう主催者と、話す講師とのあいだの約束です。
催しをめぐる約束は5本の線に分かれる
最初に、誰と誰のあいだにどんな約束があるのかを、一覧にします。同じ「契約」という言葉でも、相手が違えば、決めること、適用される法律、使う書類が変わります。
催しをめぐる5本の約束と、それぞれの担い手
講師との約束主催者・講師
題目、日時、時間、報酬、旅費、資料の提出、資料や録画の権利、辞退したときの扱い。一番トラブルが多いのは、この線です。
会場・配信環境の約束主催者・会場の管理者・配信ツールの提供者
利用時間、定員、機材、撤収、通信障害のときの責任。会場の規約やツールの利用規約は、主催者が自分で交渉できないことが多く、読んで確認する側に回ります。
共催者・協賛者との約束主催者・共催者・協賛企業
費用の分担、集客、登壇枠、ロゴの使用、協賛の対価。講師との約束より先に決めておくと、講師への依頼内容も固まります。
参加者との約束主催者・参加者
申込み、参加費、キャンセル、録音や撮影の禁止、内容の変更、中止のときの返金。講師はこの約束の当事者ではない場合が多い点に注意が必要です。
情報の約束主催者・講師・共催者
参加者の名簿、アンケート、名刺。誰が集め、誰が使い、終わったらどうするか。講師や共催者に渡すかどうかで、法律上の整理が変わります。
5本の線は互いに影響します。たとえば、参加者との約束で「録画します」と告知したなら、講師との約束に録画の許諾がなければなりません。逆に、講師との約束で録画を禁じたのに、参加者に「後日アーカイブを配信します」と案内すれば、約束が矛盾します。
5本の線のうち、このサイトの中心は、1本目の講師との約束です。ただし、1本目だけを丁寧に作っても、ほかの4本と食い違えば意味がありません。そこで、次の節で、時間の順に並べ直します。
5本の線を意識すると、「この条件は、どの線の約束なのか」を取り違えにくくなります。よくある取り違えを三つ挙げます。一つ目は、参加者に対する返金の条件を、講師との契約に書いてしまうことです。参加者との約束は、参加者に向けた規約や申込みの画面で示さなければ、参加者には届きません。二つ目は、会場の利用規約にある「撮影禁止」を、講師との録画の取り決めと同じものと考えることです。会場の撮影禁止は、会場の管理者に対する約束であり、主催者が許可を得れば例外にできる場合もあります。三つ目は、共催者と合意した費用の分担を、講師への報酬の根拠にしてしまうことです。講師から見れば、報酬を払う義務を負うのは契約の相手である主催者であり、共催者との内部の分担は関係がありません。
開催前・開催中・開催後に分けて、決める時期をそろえる
約束を時間の順に並べると、「いつまでに何を決めておくか」が見えます。実務でよく見られる例として、開催前に決めるべきことを開催後に気づき、既に動いてしまった事実の上で交渉することになる、という流れがあります。
催しの時間軸と、各段階で決めること
1開催前
依頼・条件・告知
- 講師への依頼内容(題目、対象者、時間、質疑)と報酬
- 資料の提出期限と、資料や録画の権利の範囲
- 会場やウェビナーの条件、共催者・協賛者との分担
- 告知ページに載せる講師の経歴と効果の表現
- 参加者から集める情報と利用目的
2開催中
資料・録画・名簿・会場
- 配布資料の扱い、録音や撮影のルール
- ライブ配信や録画をする場合の許諾の範囲
- 受付で集める名簿やアンケートの取扱い
- 進行中のトラブル(機材、通信、体調不良)の対応
- 会場内での勧誘や物販のルール
3開催後
配信・精算・勧誘
- 講師料と旅費の精算、支払期日
- アーカイブの公開期間、削除の依頼への対応
- 名簿の消去・返却、共催者への引き渡し
- 参加者への個別相談や商品の案内の可否
- 苦情や返金の窓口と、費用の分担
ここに挙げた項目は、それぞれ後のページで掘り下げます。開催前の欄が最も長いのは、決められるのに決めずに開催してしまう項目が最も多いのが開催前だからです。
この表の見方で大切なのは、右の列に行くほど「後から変えにくい」ということです。開催前なら、講師との話し合いで条件を調整できます。開催中は、その場の判断になります。開催後は、既に起きた事実の評価になり、双方の記憶や主張が食い違いやすくなります。決める時期を前倒しにすることが、契約書を整える最大の目的です。
特に開催前の項目のうち、録画と資料の権利は、後から追加で許諾を得ようとすると、講師側から追加報酬を求められる場面が目立ちます。録画やアーカイブ配信を最初から考えているなら、依頼の段階で話しておくのが、主催者にとっても講師にとっても無理のない進め方です(録画・配信・アーカイブのページ)。
講師との契約を、依頼書・基本契約・個別の発注書のどれで結ぶか
講師との約束は、書面やメールのかたちが主に三つあります。それぞれ向く場面が違うので、催しの頻度と規模に合わせて選びます。
講師との書類の三つのかたち(一般的な類型)
| かたち | 向く場面 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 依頼書(1回限りの登壇の依頼) | 知人や同業への依頼、年に数回程度の催し、初めての講師 | 1〜2枚で、題目・日時・時間・報酬・旅費・資料の提出・録画の扱いを書く。メールで送って承諾の返信をもらう方法も多い | 分量が少ないぶん、解除・損害賠償・権利の書き方が薄くなりやすい。録画や資料の権利は1行ずつ書く |
| 講師業務委託契約書(1回の契約書) | 報酬が大きい、資料や動画を納める、出張を伴う、社外秘の情報を扱う | 契約として条項を整えた書面。再委託、秘密保持、損害賠償の限度、解除などを置く | 細かく書くほど講師側の負担が重くなる。講師に一方的に不利な条項は、後で話し合いの火種になる |
| 基本契約+個別の発注書 | 同じ講師や講師派遣会社に、繰り返し依頼する | 共通の条件は基本契約に、毎回変わる日時・題目・報酬は発注書やメールに分ける | 優先関係を決めておかないと、基本契約と発注書の食い違いが解釈の争いになる |
どのかたちを選んでも、中身として共通するのは、講師がするのは「時間を使って話すこと」なのか、「資料や動画という成果物を完成させて納めること」なのかを、はっきりさせることです。法律上は、前者は準委任(民法656条により、法律行為でない事務の委託に委任の規定が準用されます。民法643条が委任の定義です)、後者は請負(民法632条。仕事の完成を約束し、その結果に報酬を支払う契約)に整理されることが多いといえます。講演そのものは、話す行為なので準委任の性格が強く、スライドや動画を納品物として約束すると、その部分は請負に近づきます。
この区別は、報酬の払い方に影響します。準委任の場合、受任者は特約がなければ報酬を請求できないのが原則です(民法648条1項)。講師が商人で、その営業の範囲内で引き受けた登壇であれば、特約がなくても相当な報酬を請求できる場合があります(商法512条)。いずれにしても、「謝礼を払う」と口頭で言っていても、書面やメールに残っていなければ、金額や支払の有無で争いになりやすいのです。報酬を払う前提なら、金額と支払時期を書面かメールで残します。詳しくは、講師料・謝礼・旅費のページで説明します。
依頼書の書き方は講演・登壇の依頼書のページで、項目ごとに整理しています。
講師が複数いる催しや、講師が所属先の事務所・法人を通して依頼を受ける場合は、もう一段注意が必要です。複数の講師が登壇するパネル形式や連続講座風の1日セミナーでは、講師ごとに時間と報酬を分け、誰がどの時間を担当するかを一覧にして添付すると、後の精算が食い違いません。所属先を通す場合は、契約の相手が講師本人なのか所属先なのか、報酬の請求先と受領者はどちらか、資料の権利は講師本人に残るのか所属先に帰属するのか、講師が出られなくなったときの代役を所属先が出す義務があるのか、を書面で確認します。契約の相手が講師個人でなく法人になる場合には、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の適用の有無も変わり得るため、契約当事者が誰かは最初に確定させておきます。
もう一つ、実務でよく見られる場面があります。主催者の社内の人間が講師を務める場合です。社内の従業員が登壇するなら、外部の講師向けの契約書は不要に見えます。しかし、その資料を後で社外の催しや販売に転用するときは、資料の権利が会社に属するのか、従業員に残るのかが問題になります。著作権法15条1項は、法人等の発意に基づき、その業務に従事する者が職務上作成する著作物で、法人等が自己の著作の名義の下に公表するものについて、契約や勤務規則に別段の定めがなければ、その法人等を著作者とすると定めています。法人等の名義で公表されない資料は、この要件に当たらない場合があるため、社内講師であっても、資料の使い道が社外に広がりそうなときは、扱いを文章にしておくと安心です。
書類が食い違ったときの優先関係を、先に決める
書類が複数になると、しばしば「食い違い」が起きます。募集ページには「質疑の時間あり」と書いてあるのに、講師への依頼書には書いていない。基本契約では「録画はしない」としているのに、個別の発注書には「アーカイブ配信を行う」とある。こうしたとき、どれが優先するのかを決めていないと、当事者は自分に都合のよい書類を根拠にします。
優先関係の典型は、次のような並びです。
条文例優先関係を定める条文例(一般的な書き方)
- 本契約と個別の取り決め(発注書、依頼書、電子メールによる合意を含む。以下「個別合意」という。)の内容が異なる場合は、個別合意に定めのある事項に限り、個別合意が優先する。
- 個別合意に定めのない事項については、本契約の定めによる。
- 募集ページ、チラシその他の告知物の記載は、本契約および個別合意の内容を変更しない。ただし、告知物の内容が本契約または個別合意と異なることにより参加者から苦情が出た場合の対応は、○条に定める。
一つの契約書の中で、「基本契約が個別契約に優先する」と「個別契約が基本契約に優先する」が別々の条に並んでしまう書き方が、多くの契約書で見られる傾向としてあります。どちらを優先するのかを一方向に決め、例外を明記します。
優先関係には、考え方が二つあります。一つは、共通の基本契約を優先し、個別の取り決めは補うだけにする考え方で、条件のばらつきを避けたい主催者側が好みます。もう一つは、個別の取り決めを優先し、基本契約は個別に定めがないときの穴埋めにする考え方で、毎回条件が変わる講師派遣などに向きます。どちらが正しいというものではなく、取引の実態に合わせて選びます。
募集ページや案内文との関係も、同じ視点で整理できます。参加者に向けた告知は、参加者との約束の一部になり得ます。その告知の内容を、講師との契約の中身と一致させる手順を決めておくと、後のずれを防げます。告知の表示については、告知ページ・チラシのページで扱います。
書き方の例(一般的な例) 優先関係の書き方
基本契約と個別合意が矛盾したとき
理由どちらも優先すると読める状態では、争いが起きた後に当事者が自分に有利な条を持ち出すだけで、結論が出ない。
告知物との関係
理由告知物は主催者が一人で作ることが多く、講師が内容を見ていない場合がある。講師の同意なしに契約の中身が変わらないようにする。
メールの扱い
理由催しの調整はメールやチャットで進むことが多く、書面を作らないまま条件が積み重なる。後から読み返せる形にしておく。
単発〜数回の催しと、継続して教える講座は、書類が変わる
このサイトが対象にするのは、1回から数回の催しです。継続して教える講座とは、線引きが必要です。理由は、継続的に教える講座では、受講生と主催者のあいだの契約が中心になり、法律上の規制も変わるからです。
単発の催しと継続講座の違い(一般的な類型)
| 比べるもの | 単発〜数回の催し | 継続して教える講座 |
|---|---|---|
| 中心になる契約 | 主催者と講師の契約。参加者との契約は申込みの条件にとどまる | 講座の運営者と受講生の受講契約。講師との契約は、その内側に位置する |
| 参加者の期間 | 1日〜数日。期間が短く、受講の結果への期待も限定的 | 数か月〜年単位。成果や修了の期待が生まれやすい |
| 返金・解約 | 開催日までの区分でキャンセルの扱いを決める程度 | 途中解約、中途の返金、残りの期間の精算が主な論点 |
| 法規制の確認 | 多くは通常の消費者向け取引の確認(表示、返金の定め) | 法律で指定された役務の種類に当たる場合は、書面の交付や解約の定めなど、特別の規制がかかる(特定商取引法41条以下の特定継続的役務提供) |
| 講師との関係 | 1回ごとの依頼書。報酬は定額が中心 | 継続的な業務委託。報酬は人数や売上に連動することも多い |
特定継続的役務提供とは、特定商取引法41条が定める、エステティック、語学教室、学習塾、パソコン教室など、政令で指定された役務の種類について、一定の期間を超え、一定の金額を超えて提供する契約のことです。限定列挙(法律や政令で挙げられた種類だけが対象になる仕組み)なので、セミナーや講演が指定された種類に当たらない限り、この規制は直接はかかりません。ただし、継続して通う講座で、語学やパソコンなど指定された種類に当たる内容を教える場合は、先に当てはめて確かめる必要があります。単発の参加規約の書き方は単発セミナーの参加規約のページで、特定継続的役務に当たるかの確認とあわせて扱います。
実務では、単発の催しが次第に回数を重ねて、実質的に継続講座になっていく場面があります。最初は1日のセミナーだったものが、月例の勉強会になり、会員制になり、教材の頒布が始まる。そのときは、書類の種類を切り替える時期です。単発の依頼書のまま続けると、講師との関係も、参加者との関係も、整理されないまま積み重なっていきます。
決めずに開催しやすい8項目
最後に、全体のチェック表を掲げます。これらは、書類の種類にかかわらず、決めないまま開催に進みやすい項目です。一つでも空欄があれば、その項目のページに進んでください。
開催前に確認する8項目
- 講師への依頼内容:題目、対象者、時間、質疑の有無を、書面かメールで残したか(登壇の依頼書)。
- 報酬と費用:講師料の算定方法、旅費・宿泊費・機材費の負担、支払期日、税込・税別の別を決めたか(講師料・旅費)。
- 資料の権利:スライドと配布資料の権利が誰にあり、主催者はどこまで使えるかを決めたか(資料の著作権)。
- 録画と配信:録音・録画・ライブ配信・アーカイブの範囲、期間、追加報酬の有無を決めたか(録画・配信)。
- 辞退と中止:講師が出られなくなったとき、主催者が中止にしたときの扱いを決めたか(辞退・代役)。
- 会場と配信環境:利用時間、定員、撤収、通信障害の責任を書面で確認したか(会場・ウェビナー)。
- 共催・協賛:費用の分担、登壇枠、ロゴの使用、協賛の表示を決めたか(共催・協賛)。
- 名簿と勧誘:参加者の情報の利用目的と、講師や共催者への提供、終了後の勧誘の可否を決めたか(名簿・個人情報、終了後の勧誘)。
確認の問いと理由開催前の自己点検
この催しの契約は、誰と誰のあいだの約束が何本あるか、紙に書き出せるか。
5本の線のうち、書類のない線が見つかることがある。書類がなくても約束は存在するので、見える形にする。
講師との書類に、録画と資料の権利について1行でも書いてあるか。
ここが空欄のまま開催し、開催後に追加の許諾や追加報酬の話になる流れがよく見られる。
書類が複数あるなら、食い違ったときの優先順位を決めているか。
優先順位がないと、争いのときに双方が別の書類を根拠にする。
この催しは、単発のまま続けてよいか、継続講座として別の書類が必要か。
回数が増えたら書類の切り替え時期。特に参加者との間の返金や解約の定めを確かめる。
トラブルになったとき、最初に見る書類はどれか分かるか。
最初に見る書類が決まっていると、整理が早い(トラブル・よくある質問のページ)。
起きがちなこと
最後に、全体の組み立てで起きやすい失敗を整理します。いずれも、書類が足りないというより、書類どうしの関係が整理されていないことから生じます。
全体の組み立てで起きがちなこと
- 講師への依頼を口頭やチャットだけで済ませ、報酬の金額・支払時期・旅費の負担を後から確認できない。
- 募集ページに書いた内容(録画、特典、質疑)を、講師に伝えていない。
- 共催者との費用分担を決める前に、講師へ報酬の話を始めてしまう。
- 録画やアーカイブの話が開催後に出て、追加報酬や再許諾の交渉になる。
- 名簿を共催者や講師に渡す前提で集めたのに、参加者への利用目的の説明が足りない。
- 回数を重ねて継続講座の実態になっているのに、単発用の書類を使い回している。
- 基本契約と個別の発注書の優先関係が、どちらも優先すると読める状態になっている。
- トラブルが起きてから書類を探し、メールとチャットが散らばって時系列に並べられない。
よくあるご質問
セミナーの講師を頼むとき、契約書は必ず必要ですか?
法律上、書面の作成が一律に義務付けられているわけではありません。ただし、講師が従業員を使わない個人事業者などで、主催者が事業のために登壇を委託する場合は、給付の内容・報酬の額・支払期日などを書面または電磁的方法で明示することが法律上求められます(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律3条)。契約書でなくても、依頼書やメールで項目をそろえて残すのが現実的です。
依頼書と契約書は、どちらがよいですか?
1回限りの登壇で、報酬が小さく、資料の納品もなければ、依頼書とメールで足りることが多くあります。報酬が大きい、資料や動画を納める、出張を伴う、秘密情報を扱うなどの場合は、条項を整えた契約書にします。迷うときは、録画・資料の権利・辞退の3点が書けるかどうかを基準にしてください。
共催のセミナーでは、講師との契約は誰が結びますか?
共催の場合、講師の選定と報酬の負担を誰が担うかによって決まります。一方の共催者が講師と契約し、費用を共催者間で精算する形と、共催者が連名で依頼する形があります。講師から見て、報酬の請求先が一人に決まっていることが重要です。共催の費用分担は、共催・協賛のページで扱います。
書類の優先関係は、どう書けばよいですか?
個別の取り決めを優先する考え方と、基本契約を優先する考え方のどちらかに決め、一方向で書きます。両方に優先する旨が並ぶと、争いの場面で結論が出なくなります。例外(秘密保持など個別合意で変えない事項)は列挙します。
1回きりのセミナーなのに、継続講座の書類を使ってもよいですか?
参加者との関係は、継続講座の受講契約書の解約や返金の仕組みが、単発には重すぎる場合があります。逆に、単発用の書類を継続講座に使うと、中途の返金や終了の定めが足りません。催しの形に合わせて書類を使い分けます。
あわせて読みたいページ
本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、契約の内容や催しの仕組みによって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、契約書作成の実務でよく見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 / 個人情報保護委員会 / 公正取引委員会