このページの要点
- 講演の録音・録画は複製(著作権法21条)、配信は公衆送信(同法23条)で、講師の許諾の範囲内でしか利用できない(同法63条2項)。
- 許諾の型を、記録のみ・見逃し配信・アーカイブ販売・全面利用から選び、広告への抜粋や第三者への提供は別に決める。
- 期間・地域・媒体・有償化・削除の五つの軸で範囲を特定し、有償化するときは講師への追加の対価を決める。
- 参加者・質疑・BGM・他人の資料の映り込みは、準備する人と確認する人を決め、参加者への案内と矛盾させない。
結論:録画と配信は「講師の話を複製して、公衆へ送る」行為。許諾は使い方ごとに分けて書く
セミナーや講演会を録画して、都合が合わなかった人のために見逃し配信をする、アーカイブとして販売する、広告に一部を使う。こうした希望は、いまや珍しくありません。ところが、講師への依頼書や業務委託契約書には、録画や配信について一行も書かれていないことが、契約書作成の実務ではよく見られます。会場にカメラを置けば録画そのものはできてしまうため、許諾を得たかどうかが曖昧なまま進みやすい部分です。
出発点は著作権法です。講演の内容のうち、思想や感情を創作的に表現した部分は、言語の著作物(著作権法10条1項1号は「講演」を例示しています)にあたり得ます。講師が作ったスライドも著作物です。これを録音・録画することは複製(同法21条)、インターネットで送ることは公衆送信(同法23条)にあたります。さらに、講師の話しぶりそのものが「実演」(同法2条1項3号)にあたる場合には、実演家として録音権・録画権(同法91条)と送信可能化権(同法92条の2)が働きます。つまり、録画も配信も、原則として講師の許諾を得て行うものです。
このページの結論は、次の三つです。
- 録画してよいか、配信してよいか、別の目的(広告や商品化)に使ってよいかは、別々の問題として書く。「録画を許す」の一言に、すべてを含めない。
- 許諾は、利用の方法(録画・配信・販売・抜粋)ごとに、期間・地域・媒体・有償化・削除の五つの軸で範囲を特定する。範囲を超える利用は、許諾の外になる(同法63条2項)。
- 録画や配信が講師の仕事を増やすなら、出演の対価と講師が内容を確認する機会を、依頼書の段階で決めておく。
このページでは、講師が出演する催しの録画・配信・アーカイブに絞ります。講師のスライドや配布資料そのものの権利は講演スライド・配布資料の著作権、参加者が録音・録画をしてはいけないという規約は単発セミナーの参加規約で扱います。継続講座の録画教材や、教室での生徒の撮影の同意は、別のガイドの領域です。
録画・配信のどこに、誰の権利があるか
「録画してよいか」と一口に言っても、行為ごとに関わる権利が異なります。最初に、場面と権利の対応を整理します。
場面ごとの権利と、許諾を得る相手
| 場面 | 関わる主な権利(条文) | 許諾を得る相手 | 契約書で決めること |
|---|---|---|---|
| 会場での録音・録画 | 複製権(21条)。講師の実演の録音権・録画権(91条) | 講師。資料の権利者が別なら、その人も | 録画してよいか、機材と費用の負担、撮影の範囲(講師のみか、会場全体か) |
| ライブ配信 | 公衆送信権(23条) | 講師 | 配信先、視聴者の範囲、同時に配信する相手、視聴の条件 |
| 見逃し配信 | 公衆送信権(23条)。送信可能化(2条1項9号の5) | 講師 | 公開期間、視聴できる人の範囲、ダウンロードの可否 |
| アーカイブの販売 | 同上。有償での提供 | 講師 | 追加の対価、売上の分配、価格の決め方、販売の期間 |
| 広告・ダイジェストへの抜粋 | 複製・公衆送信。編集は著作者人格権のうち同一性保持権(20条)にも関わる | 講師 | 抜粋の長さ、編集内容の確認、使う媒体 |
| 共催者・制作会社・配信サービスへの提供 | 許諾を得た者の利用権は、著作権者の承諾なく譲渡できない(63条3項) | 講師 | 提供してよい相手の範囲、再許諾の可否、相手の義務 |
なお、講演のすべてが著作物になるわけではありません。単なる事実の列挙や、他人の文章の読み上げは、講師の著作物とは限りません。ただ、契約では「著作物にあたるかどうか」を争うよりも、あらかじめ録画・配信の範囲を合意しておくほうが、はるかに安心です。
もう一つ、条文を読むうえで知っておきたい点があります。実演家の送信可能化権は、実演家が録画を許諾して作られた録画物には及ばないという例外が置かれています(同法92条の2第2項1号)。たとえば、講師が「録画はしてよい」と言っただけで、配信については何も言っていなかった場合、実演家の権利だけで配信を止められるとは限りません。講師にとっては、配信の範囲を守れるのは契約だけ、ということになります。主催者にとっては、配信の許諾を書面で明示して得ておかなければ、後から「録画は許したが配信は許していない」という食い違いを解けなくなる、ということです。講演の内容に著作権が及ぶ場合の公衆送信権(同法23条)は別に働くので、どちらにせよ、範囲の合意は欠かせません。
許諾の「型」を選ぶ:記録のみ、見逃し配信、アーカイブ販売、全面利用
録画・配信の許諾は、細かく分けるほど書きづらくなります。実務では、次の四つの型のどれかを選び、足りない部分を条項で補う進め方がよく見られます。
許諾の型と、できることの整理(書き方の例)
| 許諾の型 | 内部の記録 | 見逃し配信 | アーカイブ販売 | 広告への抜粋 | 第三者への提供 |
|---|---|---|---|---|---|
| 記録のみ型 | 許す | 許さない | 許さない | 許さない | 許さない |
| 見逃し配信型 | 許す | 許す | 許さない | 条件付き | 許さない |
| アーカイブ販売型 | 許す | 許す | 許す | 条件付き | 条件付き |
| 全面利用型 | 許す | 許す | 許す | 許す | 条件付き |
「条件付き」は、抜粋の長さ・編集内容の確認・提供先の範囲などを決めたうえで許す、という意味です。「許さない」とした使い方を行うときは、別途、講師の許諾を得ます。
記録のみ型は、議事録や社内の振り返り、講師の自己研さんのための記録に限る型です。講師の心理的な負担が最も小さく、無償の登壇や勉強会でよく選ばれます。見逃し配信型は、参加者または申込者に対して、一定期間だけ録画を見られるようにする型です。講師にとっては、見逃し配信は「もう一度同じ話をする」のと近く、受け入れやすい範囲です。
アーカイブ販売型は、催しの録画を商品として売る型です。主催者の収益が増えるため、講師への追加報酬または売上の分配を決めるのが通常です。全面利用型は、広告やダイジェスト、他の催しの告知などに自由に使える型で、講師にとっては顔と声が長く使われ続けることになります。期間、地域、削除の手続を併せて決めないと、講師が引き受けにくい条件になります。
許諾を取る順番(開催前・開催中・開催後)
1開催前
依頼書の段階で型を決める
- 録画・配信の有無と型を、依頼書に書く
- 期間・地域・媒体・有償化の有無を決める
- 講師の出演の対価を決める
- 参加者への事前告知の文面を決める
2開催中
決めた範囲で撮る
- 撮影の範囲(講師のみ・質疑を含む)を確認する
- 参加者への案内を会場とウェビナー画面で見せる
- 許諾を超える撮影をしない
- 映したくない人への配慮を行う
3開催後
確認してから出す
- 編集後の映像を、必要なら講師が確認する
- 公開期間の始期と終期を記録に残す
- 削除の要請があった場合の手順を決める
- 売上の分配があれば、期日までに精算する
段階ごとに決めておくことを並べました。開催後に決めようとすると、講師の同意を得るための交渉になりがちです。
書き方の例:許諾の範囲を特定する
条項は、録画・配信・利用の三つを順に特定する形にします。次は、見逃し配信までを許す型の書き方の例です。数字や日数は伏せています。
条文例講演の録画及び配信(書き方の例)
- 甲(主催者)は、乙(講師)が出演する本講演を、乙の事前の承諾を得た範囲で、録音及び録画することができる。
- 甲は、前項により作成した録画物を、本講演の参加者及び申込者に限り、開催日から○か月間、見逃し配信の方法で利用できる。この期間を超えて利用する場合は、甲は、乙と協議し、書面(電磁的方法を含む)により合意する。
- 甲は、前二項に定める以外の方法(録画物の販売、広告への使用、第三者への提供を含む)で録画物を利用してはならない。ただし、乙が書面で承諾した場合は、この限りでない。
- 乙は、甲が前項の範囲を超えて利用した場合には、その利用の停止を求めることができる。
- 甲は、第2項の期間が終了したときは、速やかに録画物の公開を停止する。甲が保存する録画物の取扱いは、乙の求めがあるときは、乙と協議して定める。
著作者人格権を行使しない旨や、権利を主催者に移す旨は、ここには書いていません。録画物の「利用の許諾」にとどめるのが、講師が引き受けやすい書き方です。
期間・地域・媒体・有償化・削除:争いが起きやすい五つの軸
許諾の範囲を決めるときは、次の五つの軸に分けて考えると漏れが減ります。
- 期間:開催日から○か月か、無期限か。無期限にする場合も、講師が公開を止めてほしいと求めたときの手続を書きます。
- 地域:日本国内のみか、海外からの視聴も許すのか。動画配信サービスを使うと、視聴者の所在地は選べないことが多く、地域を限った許諾が実際には守れない場合があります。
- 媒体:自社の会員ページか、動画共有サービスか、SNSか。サービスごとの利用規約が、コンテンツの利用をサービス側に広く認めている場合があるため、許諾の範囲と、実際に使うサービスの条件が食い違わないかを確認します。
- 有償化:視聴を有料にするのか、参加費に含めるのか、アーカイブを単体で売るのか。有償にするなら、講師への追加報酬または売上の分配を決めます。講師料の組み立て方は講師料・謝礼・旅費の決め方と合わせて考えると整理できます。
- 削除:講師が内容の誤りに気づいた、所属や肩書が変わった、権利の問題が見つかった、といったときに、公開を停止する手続を決めます。
書き方の例(一般的な例) 許諾の範囲の書き方
利用の範囲
理由「自由に」は、広告や商品化まで含むと読まれかねず、講師にとっては想定外の利用につながります。範囲を目的と方法で特定すれば、主催者も、許される利用を確信して進められます。
期間
理由期間を定めないと、いつまで講師の顔と声が公開され続けるのか分かりません。期間と、終了後の扱いを書けば、延長の協議の機会も生まれます。
削除の求め
理由内容に誤りが見つかったときの道筋がないと、講師と主催者の信頼が損なわれます。条件を限った形で、協議の場を作っておきます。
追加の対価は、三つの組み立てがよく見られます。一つ目は、出演料に録画・配信の許諾の対価を含める方法で、金額が分かりやすい反面、アーカイブ販売が想定以上に伸びても講師の取り分は変わりません。二つ目は、録画・配信の許諾の対価を別に定額で決める方法です。三つ目は、アーカイブの売上の一定割合を分配する方法で、売上の定義(税込か税別か、決済手数料を差し引くか)と、計算の期間・報告・支払の時期を決める必要があります。金額は、税込か税別かを明記します。
映り込みと、参加者への案内:参加者・質疑・BGM・他人の資料の扱い
録画・配信の許諾で見落とされやすいのは、講師以外のものが映り込む場面です。主催者が録画する場合、責任の所在を事前に決めておきます。
映り込みに関する項目と、確認する人の整理
参加者の顔や声主催者
録画に映る参加者は、個人情報(個人情報保護法2条1項)にあたり得ます。録画すること、利用目的、公開範囲を、申込みのときと会場・画面で伝えます(同法17条、21条)。映りたくない人のために、撮影しない席やカメラオフの方法を用意します。
質疑応答の質問者主催者
質問者の声や顔が配信されるため、質疑を録画に含めるかを決めます。含める場合は、質問をする人に事前に告げます。質疑の部分だけを編集で外す、という選択肢も用意できます。
講師が使う他人の図表・写真・音楽講師
会場で見せるだけの利用と、録画して配信する利用とでは、必要な許諾の範囲が異なることがあります。引用(著作権法32条)の要件に収まるかを含め、講師が権利処理をする、または録画では差し替える、といった責任の置き方を決めます。
会場に掲示された物・背景の物主催者
写真の撮影や録画で、背景などに写り込んだ物が軽微な構成部分にとどまる場合の規定があります(同法30条の2)。ただし、それに頼らず、目立つ位置に他人の作品を置かないといった、準備の段階での配慮が有効です。
BGMや映像素材編集を担当する人
主催者側が持ち込む音楽や映像は、配信に使えるライセンスの範囲かを確認します。講師の話に重ねる素材は、講師の許諾の範囲とは別の問題です。
責任の分担は、「誰が準備し、誰が確認するか」で書くと、争いになりにくくなります。
講師の側には、他人の資料の権利処理を責任として負わせる一方で、主催者は、録画に使う素材や会場の掲示物について、自らが責任を負う、という書き方が公平です。講師に一方的に「第三者の権利を侵害しない」とだけ書かせる契約は、録画・配信では特に重い負担になります。
参加者に向けた録音・録画の案内と、講師の許諾を食い違わせない
参加規約や会場の掲示で「録音・録画・撮影を禁止します」と書きながら、主催者自身は録画して配信する、という運用は、よくあります。矛盾ではありませんが、参加者から見れば分かりにくいので、案内の書き方を工夫します。
- 参加者の禁止:参加者による無断の録音・録画・撮影・SNSへの投稿を禁止すること。
- 主催者の録画:主催者が、記録または配信のために録画する場合があること、その場合の利用目的、映り込みへの配慮。
- 例外:講師が許したメモや、質疑のための撮影などの扱い。
参加規約は、不特定多数の参加者に同じ条件で示すものですから、民法上の定型約款(民法548条の2)にあたり得ます。契約の内容にするためには、申込みの前に規約を表示し、同意を得る手順を整えます。会場側にも、録音・録画・配信を禁止または制限するルールがあることがあります。会場のルールは会場とウェビナーの利用条件で整理しています。
録画や配信を第三者に任せるとき:制作会社・配信サービス・共催者への引継ぎ
録画の撮影、編集、配信の運用を、制作会社や配信サービスに任せる主催者も多くあります。このとき、講師から得た許諾は、そのまま委託先に及ぶわけではありません。許諾を得た者の利用権は、著作権者の承諾を得なければ譲渡できないとされています(著作権法63条3項)。そのため、委託先に録画物を預けて加工や配信をさせる場合は、講師の許諾の中に、委託先に作業をさせてよいことを含めておくか、委託先が主催者の手足として作業するにとどまることを明らかにしておく必要があります。
委託先との契約には、講師の許諾の範囲を超えて録画物を使わないこと、他の目的に使わないこと、再び他社に任せないこと、作業が終わったらデータを返却または削除することを書きます。参加者の顔や声が入った録画データは、個人データにあたり得るため、委託先の監督(個人情報保護法25条)と安全管理(同法23条)も関わります。
録画の取扱いを第三者に任せるときの確認項目
- 講師への依頼書に、制作会社や配信サービスが作業を行うことが書かれているか。
- 委託先が、講師の許諾の範囲を超えて録画物を使わない義務を負っているか。
- 委託先が録画物を第三者に再び任せることを、主催者の承諾にかからせているか。
- 編集の方針(カット、字幕、効果音、他の映像との組合せ)を、講師が事前に確認できるか。
- 作業が終わったときの、データの返却または削除の期限と方法を決めているか。
- 参加者が映り込んだデータについて、保管の場所とアクセスできる人を限っているか。
講師の側から見ると、録画が自分の知らない会社の手に渡り、いつの間にか別の用途に使われることが、最も気になる点です。誰に作業を任せるのか、どの範囲で任せるのかを、依頼書の段階で示しておくことは、講師が許諾を出しやすくなる条件の一つです。共催者に録画物を共有する場合も、共催者が自社の別の催しに使えるのか、自社の媒体に載せてよいのかを、講師との契約と共催者との契約の両方で、同じ範囲にそろえます。共催者との契約の書き方は共催・後援・協賛セミナーの契約で説明しています。
確認の問い:録画・配信の許諾を取る前に
確認の問いと理由依頼書を送る前に、主催者が自分に問う項目
録画するのは何のためか。
記録、見逃し配信、販売、広告のどれかで、必要な許諾の型が変わります。目的を書かないまま許諾を求めると、講師は範囲を想像で判断することになります。
配信の相手は誰か。
参加者だけか、申込者全員か、一般公開か。相手の範囲は、講師が許諾するかどうかの判断材料の中心です。
公開の期間と終わらせ方は決めたか。
期間満了後の公開停止、保存データの扱い、延長の協議の方法まで書くと、後で揉めにくくなります。
追加の対価は決めたか。
出演料に含むのか、別に定めるのか、売上を分配するのか。有償化するなら、先に決めます。
講師は編集後の映像を見られるか。
広告に使う抜粋は特に、切り取り方で印象が変わります。確認の機会と、修正の求めに応じる範囲を決めます。
映り込みの責任は誰が負うか。
参加者・質疑・BGM・他人の資料のそれぞれについて、準備する人と確認する人を決めます。
共催者や委託先に渡すか。
渡すなら、許諾の範囲を超えない義務を、相手方にも課します。許諾を得た者の利用権は、承諾なく譲渡できません(同法63条3項)。
起きがちなこと:録画の範囲をめぐる食い違い
場面別の「起きがちなこと」と、先に決めておくこと
- 見逃し配信のつもりが、一般公開になっていた:配信先のサービスの初期設定が限定公開でなかった。公開の範囲を、依頼書と配信の設定の両方で確認し、設定の担当者を決めておく。
- 広告に使った抜粋の文脈が変わった:講師が反対の立場から述べた部分だけが切り取られた。抜粋の使用前に、講師が確認する手順を書く。
- 講師が所属を変えたあとも、旧所属の肩書の映像が残った:公開期間と、肩書が変わった場合の対応を決めておく。
- 共催者が、録画物を自社の別の催しで使っていた:提供先の範囲と再利用の禁止を、共催者との契約にも書く。
- アーカイブの売上が想定を大きく上回った:出演料に含むとしていたため、講師が不満を持った。有償化の追加報酬は、売上に応じた見直しの条項を検討する。
- 質疑の質問者が映っていた:事前の案内がなく、後日、公開の停止を求められた。申込みの時点で、映る可能性と利用目的を伝える。
録画・配信の許諾は、開催後に取り直すのが最も大変です。講師との間に追加の合意が必要になる場面を減らすため、依頼書の段階で型を選び、条項に落としておくことをお勧めします。依頼書全体の項目の立て方は講演・登壇の依頼書と契約書に、トラブルになったときの整理はセミナー・講演でうまくいかなかったときにまとめています。
よくあるご質問
講演を録画する場合、講師の許諾は必ず必要ですか。
講演の内容に創作性があれば言語の著作物にあたり、録音・録画は複製(著作権法21条)、配信は公衆送信(同法23条)となるため、原則として講師の許諾が必要です。講師の話しぶりが実演にあたる場合は、実演家の録音権・録画権(同法91条)も関わります。手堅く進めるなら、依頼書に録画・配信の範囲を書き、講師の同意を得ておきます。
録画の許諾をもらえば、配信やアーカイブ販売もしてよいのですか。
許諾は、その範囲内でしか利用できません(著作権法63条2項)。「録画してよい」という許諾に、販売や広告への使用が当然に含まれるとは言えません。実演家の送信可能化権には、録画を許諾した録画物に及ばない例外があります(同法92条の2第2項1号)が、講演の著作物としての公衆送信権は別に働きます。配信や販売まで行うなら、その旨を明示して許諾を得ます。
無償の勉強会でも、録画の許諾の書面が必要ですか。
無償であっても、録画や配信には講師の許諾が要ります。ただ、無償の催しでは、書式の整った契約書よりも、依頼のメールに録画の目的・配信の相手・期間を書き、講師が返信で同意する形で足りる場面が多くあります。やり取りは、後から見返せる形で残します。
講師が一度許諾した録画を、後から非公開にしてほしいと言えますか。
許諾の撤回の可否は、契約の定めによります。定めがなければ、期間や範囲の合意の解釈になり、争いやすい部分です。誤りの訂正や権利の問題などの理由を限って、公開停止を求められる条項を置いておくと、双方の見通しが立ちます。
参加者が映り込んだ録画を公開するときの注意点は。
顔や声が映る参加者は個人情報にあたり得るため、録画すること、利用目的、公開の範囲を事前に伝えます(個人情報保護法17条、21条)。映りたくない人への配慮の方法も用意します。質疑の部分は、録画に含めるか、編集で外すかを決めておくと、後の問合せに対応しやすくなります。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、契約の内容や催しの仕組みによって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、契約書作成の実務でよく見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 / 個人情報保護委員会 / 公正取引委員会